排水の生物処理に必要な元素を栄養塩という。排水処理においては、窒素(N)、りん(P)のみを指す場合が多い。
栄養塩(窒素、りん)が不足すると、処理性(BOD、CODMn)悪化や、沈降性(SV、SVI)悪化など様々な問題が生じる。糸状菌も発生しやすくなる。栄養塩不足で各種問題が生じている場合は、適切な栄養剤を必要量添加することで、解決する。
一般的に、排水のBOD:N:P=100:5:1以上であれば、窒素、リンは十分と判断される。この比率は、余裕をもった比率であり、特にBOD汚泥転換率が低い活性汚泥では、BODに対する窒素、りんの必要量は減少し、処理水には多くの窒素、りんが残存することになる。添加した栄養剤は無駄になってしまう。
一方、排水のBODが過小評価されている場合や、排水中の窒素、リンが微生物にとって利用できない(生物学的利用能が低い)場合がある。その場合は、BOD:N:P=100:5:1以上であっても、栄養不足となるので注意が必要である。
排水のBOD:N:P比率だけで栄養の過不足の判断が難しい場合は、処理水の無機態窒素や、りん酸態りんを測定すれば良い。処理水の無機態窒素、りん酸態りんが0mg/L程度の場合は、それぞれ不足している可能性が高い。無機態窒素やりん酸態りんは、水質検査試験紙を用いて、現場で簡単に測定することが出来る。
石油・化学系排水や、高BOD排水などでは、一般的な栄養塩(窒素、りん)だけではなく、微量元素が不足することもあるので、注意が必要である。
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