活性汚泥に悪影響を与える物質を阻害物質という。阻害性物質が活性汚泥に流入すると、
・発泡
・曝気槽のDO上昇(活性汚泥の酸素消費量が低下するため)
・沈殿槽での汚泥浮上
などの、様々な現象が発生する。
阻害性物質には「生分解性の阻害物質」と「非生分解性の阻害物質」がある。
「生分解性の阻害物質」は、活性汚泥により分解されるため、曝気槽内の濃度を低く維持できる。従って、流入量を調整すれば、問題なく処理可能である。例えば、酢酸には殺菌、静菌作用があるが、易分解性なので、多くの生物処理設備で何の問題も無く処理されている。しかし、酢酸の流入量に分解量が追いつかなくなると、槽内の酢酸濃度は急増し、活性汚泥は大きなダメージを受ける。
「非生分解性の阻害物質」としては、一部の金属がある。例えば、銅や亜鉛は活性汚泥中の微生物にも必須の微量元素だが、濃度が高すぎると、殺菌性を示す。非生分解性の阻害物質では、流入濃度が薄くても、活性汚泥中に蓄積し、その結果、活性汚泥は大きなダメージを受けることがある。
阻害物質が阻害性を示すおおよその濃度は、「活性汚泥呼吸阻害試験」により、確認可能である。また、化学物質によっては、SDSに活性汚泥への阻害濃度が記されている場合もある。
阻害性の強い物質として、各種抗生物質がある。抗生物質を生産している工場では、排水処理設備に流入しないよう、最新の注意が必要である。
食品工場では、次亜塩素酸ナトリウムや、各種食品添加物(保存料、防腐剤)に注意が必要である。
【参考】
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